Sep 29, 2015

九谷青窯(くたにせいよう)の器


器好きを自認している私、伊丹店の浜辺と申します。たくさんのお気に入りの器の中から今回、九谷青窯(くたにせいよう)をご紹介したいと思います。

九谷焼は、石川県南部一帯で生産され、古くからの製法の特徴として、藍色をした「呉須釉」と呼ばれる釉薬で線描きし、赤・黄・緑・紫・紺青の「五彩」の絵具を厚く盛り上げて塗る手法が用いられています。

そのような伝統的な焼き物の地域の中で、九谷青窯は昔ながらの九谷焼のイメージを残しつつ、現代の作家によってふだん使いしやすい器を提案し続けています。今も10数名の作家が在籍し、自らろくろを回し、絵付けを行い、焼き上げて完成させています。

さらに熟練の後は工房を巣立ち、また新たな陶工が活躍するという繰り返しです。ですので、毎回新たな器が生まれるので、九谷青窯に出会って7年程が経ちますが、常に新鮮さを感じるのです。

私が九谷青窯に魅かれた魅力の一つは大胆な絵付けです。赤や緑や黄の釉薬で、花や野菜が描かれた器たちがお店に並んだ時、私は目を奪われてしまいました。仕事中でしたが、ずらっと並べられた器の前で、取り付かれた様にしばし見入ってしまったことを覚えています。

何年か経って、初めて九谷焼の買い付けに行った時も圧倒的な数の色鮮やかに絵付けされた器を見て、まるで絵画を見ている気持ちでした。

*片口・二口は浜辺家の私物

もう一つの魅力が ”形” です。作家がそれぞれの個性を生かしている為、表現される形も様々。もちろん一般的な円形、鉢型、お碗型もありますが、片口、二口、楕円形などの微細な深さ、厚み、うねりなど、あまり出会った事がない形とサイズが登場します。

この鉢のもう少し浅いものがほしいとか、煮物をたくさん盛れる素敵などんぶりがほしいなどの私の要望に応えてくれる器にも不思議と出会える事ができます。

*焼き魚の乗っている楕円の器は浜辺家の私物

大胆な絵付け、様々な形、これだけ聞くと本当に普段使い出来るの?と思われるかもしれませんが、色使いは鮮やかでも素地が磁器の美しい白の為、料理を邪魔する事がありません。片口鉢には煮物や酢の物を入れたり、楕円形には焼魚を、赤や黄色で唐辛子が描かれたお皿にパスタやチャーハン、炒め物を盛り付けて。あまり料理が得意でない私でも新しい器を購入した時は、何を作ってこの器に盛りつけようかと、とてもワクワクします。

お店に並ぶのはだいたい年に2回程。同じ器はほとんど入荷しないので、器との出会いは一期一会だと思っています。
みなさまもお気に入りの器との出会いをぜひお楽しみください。

取扱店:
アンジェ 河原町店、梅田店 ANGERS SHOP INFO
クロッシェ大日店 crochet SHOP INFO
ノイシュタット箕面店 Neustadt SHOP INFO
グリンストア伊丹店、名古屋店 GRiN store SHOP INFO

Sep 14, 2015

PILOT / キャップレス万年筆


今回はキャップがない万年筆「Capless/キャップレス」をご紹介いたします。

キャップレス万年筆とは日本を代表する万年筆メーカーのパイロットが開発した世界初のキャップのない万年筆です。
ノック式ボールペンのようにワンノックですばやく書くことができ、ペン先の収納時は、気密性の高いシャッター機構によりインキの漏れや乾燥を防ぎます。歴史はかなり古く、1958年にパイロットの設計部門で発案され、試作や性能を何度も試験し、1963年に販売されました。

その当時、普及されつつあったノック式ボールペンの人気により、万年筆の将来に危機感を感じたことから生産、販売されたのが、キャップレスでした。
一番最初のモデルは、クリップが短く、ペン先は回転繰り出し式でしたが、その2年後にノック式が発売されました。これが今現在販売されているキャップレスの原型となりました。

(写真上より)
デシモ ブラック ペン先F ¥15,000+tax
木軸 ブラック ペン先F ¥25,000+tax
マットブラック ペン先F ¥18,000+tax


私がキャップレスと出会ったのは、随分むかしに大型文房具店の筆記具売場で販売員をしていた時でした。
当時、私はこの商品を知らなかったのですが、引き出しの中の筆記具在庫の奥底の箱に入れてあった見慣れないノック式のマットブラック軸とブラックとシルバーのコンビ軸のペンを見つけました。

それは、5,000円という価格がついていて、見た瞬間「あ、2+1かな(パイロットの複合筆記具の名称)。」と思いましたが、職業上、書き味や持ち心地を試さずにいられなくなり、思わずノックしたものです。
すると、なんと万年筆のペン先が出てきたので驚きました。今でも、そんなに広く知れ渡っている機能ではないので、実際に手にされると、私と同じ様に驚かれる方も多いのではないでしょうか。


さて、使い勝手についてですが、ノック式なので操作的には簡単です。重めなノックで「カッッチ」と音がします。ZIPPOのライターの蓋を開ける時の音と通じるものがあるかもしれません。
そんな渋い音とともに、18Kのペン先がシャッターを押し開ける様にきらりと出てきます。そのギミックさが書く気分を高揚させます。

クリップがペン先の出る近くにあり、ちょうど万年筆を握った時にぶつかるのですが、
それが、握る位置と角度を固定してくれていて、スムーズに書き出すことができます。

ペン先はそれ自体が小さいので、少し固い感じがされるかもしれませんが、インクフロー良く、すらすら書けます。細字であれば手帳などの細かい文字に適しています。持ち歩きの際には、万一のインク漏れが無い様、クリップがペン先を上にするようにデザインされています。

「decimo black」 デシモとはスペイン語で10で、1963年の発売から10代目のモデルと言うネーミングです。

インクは、カートリッジはパイロットしか使えませんが、私は別売りのコンバーターを使って、好きなブランドのボトルインクを使用しています。

手紙を書く際に気にいって使っているのが、クレインのレターセット(クリーム色)とペリカンのブラウンインクです。
クリーム色にブラウンのインクが合わさった時の見た目が非常に良く、クラシックな大人の雰囲気の手紙が書けます。また、季節に合わせてターコイズやボルドーグリーンのインクを使うと季節感が増すのでおすすめです。

使いかって良く、海外でも人気の高いキャップレス万年筆。
贈り物にもいかがでしょうか。

取扱店:
アンジェビュローkitte 丸の内店 ANGERS SHOP INFO