Sep 14, 2015

PILOT / キャップレス万年筆


今回はキャップがない万年筆「Capless/キャップレス」をご紹介いたします。

キャップレス万年筆とは日本を代表する万年筆メーカーのパイロットが開発した世界初のキャップのない万年筆です。
ノック式ボールペンのようにワンノックですばやく書くことができ、ペン先の収納時は、気密性の高いシャッター機構によりインキの漏れや乾燥を防ぎます。歴史はかなり古く、1958年にパイロットの設計部門で発案され、試作や性能を何度も試験し、1963年に販売されました。

その当時、普及されつつあったノック式ボールペンの人気により、万年筆の将来に危機感を感じたことから生産、販売されたのが、キャップレスでした。
一番最初のモデルは、クリップが短く、ペン先は回転繰り出し式でしたが、その2年後にノック式が発売されました。これが今現在販売されているキャップレスの原型となりました。

(写真上より)
デシモ ブラック ペン先F ¥15,000+tax
木軸 ブラック ペン先F ¥25,000+tax
マットブラック ペン先F ¥18,000+tax


私がキャップレスと出会ったのは、随分むかしに大型文房具店の筆記具売場で販売員をしていた時でした。
当時、私はこの商品を知らなかったのですが、引き出しの中の筆記具在庫の奥底の箱に入れてあった見慣れないノック式のマットブラック軸とブラックとシルバーのコンビ軸のペンを見つけました。

それは、5,000円という価格がついていて、見た瞬間「あ、2+1かな(パイロットの複合筆記具の名称)。」と思いましたが、職業上、書き味や持ち心地を試さずにいられなくなり、思わずノックしたものです。
すると、なんと万年筆のペン先が出てきたので驚きました。今でも、そんなに広く知れ渡っている機能ではないので、実際に手にされると、私と同じ様に驚かれる方も多いのではないでしょうか。


さて、使い勝手についてですが、ノック式なので操作的には簡単です。重めなノックで「カッッチ」と音がします。ZIPPOのライターの蓋を開ける時の音と通じるものがあるかもしれません。
そんな渋い音とともに、18Kのペン先がシャッターを押し開ける様にきらりと出てきます。そのギミックさが書く気分を高揚させます。

クリップがペン先の出る近くにあり、ちょうど万年筆を握った時にぶつかるのですが、
それが、握る位置と角度を固定してくれていて、スムーズに書き出すことができます。

ペン先はそれ自体が小さいので、少し固い感じがされるかもしれませんが、インクフロー良く、すらすら書けます。細字であれば手帳などの細かい文字に適しています。持ち歩きの際には、万一のインク漏れが無い様、クリップがペン先を上にするようにデザインされています。

「decimo black」 デシモとはスペイン語で10で、1963年の発売から10代目のモデルと言うネーミングです。

インクは、カートリッジはパイロットしか使えませんが、私は別売りのコンバーターを使って、好きなブランドのボトルインクを使用しています。

手紙を書く際に気にいって使っているのが、クレインのレターセット(クリーム色)とペリカンのブラウンインクです。
クリーム色にブラウンのインクが合わさった時の見た目が非常に良く、クラシックな大人の雰囲気の手紙が書けます。また、季節に合わせてターコイズやボルドーグリーンのインクを使うと季節感が増すのでおすすめです。

使いかって良く、海外でも人気の高いキャップレス万年筆。
贈り物にもいかがでしょうか。

取扱店:
アンジェビュローkitte 丸の内店 ANGERS SHOP INFO